すると帰国の際、北京から石家荘までの火車の中でそんな状況に出会ってしまいました。
上海で台風に巻き込まれたり、20時の動車にぎりぎり乗れなかったりして疲れ果てていた私は、関口宏の息子のような状況になりたくなくて二週間の日本滞在で忘れかけた中国語を必死で操り、言葉少なに席に座っていました。
乗った火車はラサ行き。
高い席はベッド、安い席は普通の椅子です。私は石家荘までですから、椅子の切符を買いました。ラサまで何時間かかるのか分かりませんが、夜行です。夜行を椅子に座ってやりすごそうと言うのですから、周りは男性の比率高し。
私は見つからないようにひっそりと(私は中国人だぞガイジンじゃないぞオーラを発して)文庫を広げていました。ただひたすら、早く着けと祈るのみ。
しかし、夜行を椅子に座ってやり過ごそうと言うのですから、みんなヒマです。隣に座ったお兄さんが私の文庫をのぞきこんで内容が日本語だと気づきました。
「お、おまえ、日本語一級か!」
「へえ?」